分水嶺

云いたい事は山ほど在るのだけれど、別れも告げず旅立たせて貰います。
奇しくも今日は、あの夜と同じように、程よく欠けた月が優しく悲しい色をしている。

「振り返らずに歩いて行けると言うの?」
あなたはきっとそう呟くのでしょう。
それでも今は何も応えないままに、踏み出す足は飽くまでも軽やかに。

後ろ髪引かれる思いは有るけれど、今にきっとあなたを無くしてしまうから、
心決めて歩き出した俺の目には、面影がまた浮かんでは消えて行く。


真夜中の月は迷わぬ様に俺を照らしてくれるけど、何処へ向かうのか?其れさえも未だ掴めないままで。


あなたに明日を預けて
何時の日にか戻る
其の時までさらば。


過ぎ行く時はこの思いを薄めてゆくと気付いてはいるが、逃げ場を無くす様に風が吹く、風が吹く!